Mariko
Middleton
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KEMONo Gyo | けもの行
🔗 Original article in Japanese | けもの行
📌 Framing information:
オサポの指示に従い、課題をこなしていることと思う。
この行は、自身のけものとの繋がりをより確かなものとするに役立つものである。
五行は、木火土金水の巡りとその世界をけものを通して体感しつつ、自身の五感を研ぎ澄ます訓練である。五行でけものとの繋がりが確かなものとなったら、ゆかりの行へ進んで欲しい。けものが自律して動けるような手応えが出てきたら、西之島や、その他様々な場所へお使いに出す。
これは、けものと出会いたての未来の巫女だけでなく、すべての巫女に推奨する行である。
五行
●火の行
触る。
何もない暗闇の中に立つ。
前も後ろもない、暗闇。
うろうろと、周囲を歩き回る『けもの』の気配を感じる。赤く燃える瞳、息遣い、熱感。時おり手足に彼の毛並みが触れる。くすぐったく、笑いが込み上げたら、右手を差し伸べ触る。しばし戯れ、その感覚を記録する。
●水の行
聴く。
夜の川辺。
森の奥深く、秘密の小川のほとり。
さらさらと流れる川の音。
後ろの茂みから『けもの』が現れる。姿はみえず、赤い瞳が輝くばかり。
『けもの』は小川に入り、呻き声をあげながら跳ね回り雫を滴らせる。その水音に耳を澄ませ、記録する。
●木の行
視る。
夜の森に行く。
木々の繁る暗い森の中に立ち、『けもの』を呼ぶ。彼は目の前に現れるが、曖昧な輪郭と赤く燃える眼のみ。しばらく共に森を散策する。ふと、誰かの呼ぶ声を聞き、見上げれば木立の隙間に銀色の月が見える。『けもの』に跨り、一番大きな木のてっぺんに連れて行ってもらう。青白い月光に『けもの』の姿が照る。その姿を記録する。
●土の行
味わう。
黒く湿り気のある、柔らかい土の上に立つ。
木が四方に、取り囲むように生えている場所。『けもの』は鼻先で地面を探っている。木の根の上に座り、歌を口遊みつつ、その様を見守る。しばらくすると『けもの』は地中になにかを見つけ、掘り出す。歌をやめ、口を大きくあけると『けもの』はそれを咥えてこちらにやってくる。目を閉じて味わう。その味、舌触りを記録する。
●金の行
嗅ぐ。
夜があける。
黒から濃紺、濃紺から青へと白みゆく空を『けもの』の背に乗り天翔ける。明けの明星が輝く。空気の匂いが移ろう。植物の目覚める匂い、朝露の滴る匂い、『けもの』の毛並みはしっとりと輝き、両手に吸い付く。『けもの』の背に顔をうずめ、その匂いを嗅ぎ、記録する。
︎ゆかりの行
・すな
『けもの』と共にゆかりのある土地を訪れる。ひとつの場所をえらび、過去、今、未来、を本のページを捲るようにして行き来する。
・たま
『けもの』と共にゆかりあるたまに旅立つ。たまを概念化、抽象化し、その隙間に滑り込むようにして訪れる。
・ししむら
『けもの』と共に肉体のルーツを探る。一代前の父母、三代前の父母、五代前、七代、九代、百代、千代前の父母を手繰り、訪れる。
︎西之島へ
『けもの』だけで西之島に行かせる。しばらくしたら帰ってくるように伝え、帰ったら報告を聞く。過去、現在、未来、どの西之島を訪れたのか、何があり、何が無かったのか。お土産があるようなら受け取る。